書肆短評

本と映像の短評・思考素材置き場

2014-01-01から1年間の記事一覧

C87第1日目、戦果報告

備忘的に戦果報告(備忘)まで。 おそらく年明けからぼちぼち感想を書いていくと思います。 ※ 一日目も完売でいただくこと叶わなかったところがあと10個ほどあるのですが、これはやむなしと思って、事後に再販希望リストを作っていきたいと思います。 ※ 二日…

3つの『輪るピングドラム』論(3)--- 籠原スナヲさん、tacker10さん、sssafff+Nag評を並べて読む

『ピンドラ』雑記、3つ目です。今回はsssafff+Nagの紹介です。掲載元は、tacker10さんのと同じく、『アニメクリティークvol.2』です。 ---(再掲) つい先日作成した同人誌『アニメクリティーク vol.2』では、特集の2つ目の解釈対象の一つに、TVアニメ『輪…

3つの『輪るピングドラム』論--- 籠原スナヲさん、tacker10さん、sssafff+Nag評を並べて読む(2)

『ピンドラ』雑記、二つ目です。今回はtacker10さんの論考をまとめたり、私見を述べたりです。 ---(再掲) つい先日作成した同人誌『アニメクリティーク vol.2』では、特集の2つ目の解釈対象の一つに、TVアニメ『輪るピングドラム』を挙げていました。結果…

3つの『輪るピングドラム』論--- 籠原スナヲさん、tacker10さん、sssafff+Nag評を並べて読む(1)

つい先日作成した同人誌『アニメクリティーク vol.2』では、特集の2つ目の解釈対象の一つに、TVアニメ『輪るピングドラム』を挙げていました。結果的には tacker10さんのものとsssafff+Nagの拙稿、計2論が掲載される運びとなりました。内容紹介等はこちら…

アニメ『四月は君の嘘』第四話カットについて:追い抜かれる視線(1)

本作『四月は君の嘘』についての細かな導入や説明は、公式サイトも原作漫画もwikiもありますし、おそらく別の方が詳しくやってくれてると思うので、ばっさり省きます。 ここでは、『四月は君の嘘』第四話の弾き直し後の演奏シーン、とりわけ、宮園かをりの…

第19回文フリでの頒布物より(3)小説---艦これトリビュート、Liminality、しあわせはっぴーにゃんこなどなど #bunfree

第19回文フリでの頒布物で頂いてきたものから、小説を幾つかご紹介。 1: 艦これトリビュート、 2: METEOR EP、 3: しあわせはっぴーにゃんこ、 4: Liminality、 5: ゆりくらふと2、 6: 甘受の才能 まで読み終えました。12/4追加。 1、艦隊これくしょんトリ…

第19回文フリでの頒布物より (2)写真集---廃墟探索部 『IMPRISNED』 #bunfree

今回は写真集は一個だけ。 廃墟探索部 稲葉渉さんの『IMPRISNED』 <a href="http://www.ruins.tv/" data-mce-href="http://www.ruins.tv/">ruins</a> ruins 廃墟探索部さんの写真集は、軍艦島のとかサハリンのとか摩耶観光ホテルのも、どれもとてもよかったので是非。 委託販売もZINなどでやっている模様。 廃墟への憧憬がどこに由来す…

第19回文フリでの頒布物より (1) 批評・評論--- あじーる #bunfree

文フリ、お疲れさまでした。頒布されてた諸々を読んでいっているなかで、いくつか面白かったのでぼちぼち感想を。今後、追加分を上方に乗せていきます。 (ざっと書きなので、それは違うわな、という点などございましたら、ご指摘下さい) 1、『あじーる!…

11/24文フリ #bunfree Nag名義 頒布文章一覧(オ-45『アニバタ』+オ-41『アニメクリティーク』)

Nag個人として書いた文章について、まとめておきました。 以下、(1)から(6)まで、11/24文フリ#bunfree 頒布物にNag名義で載ってる掲載批評文の一覧となります。 ご意見、ご要望、あるいは入手方法や原稿の内容について訊きたいとか、なにかしらあれば…

(2015/12/21 続刊『2.5』情報追記)11/24文学フリマ #bunfree 『アニメクリティーク vol.2』+『vol.2.1』発刊 #もうゴールしてもいいよね

(2015/12/21追記) 『vol.2.0』の付属冊子、『vol.2.5 〈ゴースト〉, 不在者の倫理 特集号』を発刊します。 取り扱い作品は、まどマギ、新世紀エヴァンゲリオン+『RETAKE』、ガルガンティア、楽園追放、細田守4作品、となります。 既存の文章の再編集版で…

J.Derrida『パッション』『名を救う=名を除いて』『コーラ』付属ペーパー: デリダによる「読者への栞」

デリダ「読者への栞」をざっくりと訳してみる。 (※節番号は訳出に際して付したもの) 1. 『パッション』『名を救う』『コーラ』 これら3つのエッセイはそれぞれに独立なものとして書かれたし、実際そう読まれうる。それにもかかわらず、この三書が同時に出…

10/04 日本倫理学会 主題別討議3 「リスクの倫理学的考察」

1、導入 ・視点: リスクの哲学的考察に加えて、リスクの倫理学的考察を行いたい。 ・既存の研究: リスク学者(水質学、工学(失敗学)、リスクコミュニケーション) ・その問題 : 規範的な観点の不在(科学技術社会論のうまくいかなさ) ・今後の課題: 倫理…

"Cambridge Companion to Utilitarianism" sec.16. 功利主義と未来の人々への責務 Utilitarianism and our obligations to future people (Tim Mulgan) ※途中

"Cambridge Companion to Utilitarianism" sec.16. 功利主義と未来の人々への責務 Utilitarianism and our obligations to future people (Tim Mulgan) 1 功利主義を採らないと未来の人々を捉え損なってしまうこと i.) 非同一性問題 ii.) 世代間の互恵の欠如…

告知、アニバタ Vol.9 [特集]けいおん! & たまこラブストーリー寄稿

たつざわさん編集の『アニバタ Vol.9 [特集]けいおん! & たまこラブストーリー』に拙稿が掲載の運びとなりました。http://www.hyoron.org/anibata9 タイトルは「物語(ラブストーリー)の外にあるもの---宇宙、遠近、大人」というストレートなものとなりまし…

"Cambridge Companion to Utilitarianism" sec.13. 徳倫理が功利主義から学べること What virtue ethics can learn from Utilitarianism (Daniel C. Russel)

13章 徳倫理が功利主義から学べること(ラッセル) 第1節 なぜ全ての人が結果について思いめぐらせなければならないのか i.) 結果を真面目に受け取ることは必ずしも帰結主義に至るわけではない ii.) どのように結果が徳倫理に関わるか iii.) 結果に関わる実…

DAVID LEWIS, "UTILITARIANISM AND TRUTHFULNESS" 訳出(仮)

DAVID LEWIS, "UTILITARIANISM AND TRUTHFULNESS" のざっと訳(そのうちなおす) Australasian Journal of Philosophy Vol. 50, No. 1; May, 1972 (1) D. H. Hodgsonの出す例 ひとりの悪魔が、二人の、とても合理的な行為功利主義者を捕まえたとしよう。ここ…

6/29 日哲WS: 戦争とロボットについての応用哲学的考察

6/29 日哲WS: 戦争とロボットについての応用哲学的考察 第一 技術的な水準の議論 1、本田「アイアンマン」スーツと軍隊の徳の変容 (1) 装着型ロボットをめぐる現在の状況 脳から身体への命令(脳波)を用いたパワードスーツ、腕や足からの神経からの信号を…

6/28 日哲-73「未来という時間」(※仮まとめ)

6/28 日哲-73「未来という時間」(※仮まとめ) 1、提題 (1) 青山拓央「時間は様相に先立つか」の筆者要約 (a.「今」の特殊性) ・Lewis的指標詞には「現実」「今」「私」がある。しかし、このうち、「今」だけは別ものではないだろうか。 なぜなら、「今」だ…

"Cambridge Companion to Utilitarianism" sec.7. ルール功利主義 Rule utilitarianism(Dale E. Miller)

"Cambridge Companion to Utilitarianism" sec.7. ルール功利主義 Rule utilitarianism(Dale E. Miller) 【見出し】 第1節 ルール功利主義とは何か? 第2節 集合的な理想的コードによるルール功利主義 第3節 その他のルール功利主義説 第4節 ルール功利主…

6/7 哲学・社会思想学会 シンポジウム「ネオ・プラグマティズムの現在」野家、井頭、大河内

http://www.soc.hit-u.ac.jp/~soc_thought/conference.htm 1、野家啓一「反自然主義としてのプラグマティズム」 (1) プラグマティズムと自然主義の「密接」な関係と即断されたもの? [a.古典的プラグマティスト]・パース :反直観、可謬主義、探究共同体…

第11回神戸記念レクチャー「法と社会の発展理論を求めて 法哲学・法社会学・開発法学」より、5/31と6/3のセミナー部分。

第1: 5/31 B.タマナハ「法の歴史からみた法の本性についての洞察」 歴史的パースペクティヴを踏まえた法理論(法実証主義とは一線を画す法理論)の再構築を狙ったもの(※ペーパー見てあとから追記します)。以下、講演で興味をもった部分のまとめメモ。 1…

5/31 東浩紀 『存在論的、郵便的』を読む 講義 (4) ---第四回:2つの手紙、2つの脱構築、そして2つの人生 #genroncafe

0、2章の成立・その周辺について ・「excellent !」 本の中では最もスマートな議論をやっている(浅田彰から「excellent !」と褒められた) ・「思考不可能なもの」、「穴」、「合理の限界」 ラカン(否定神学)とデリダ(郵便)との違いを「思考不可能なも…

4/5 東浩紀『存在論的、郵便的』を読む 講義 (3) ---第三回 #genroncafe

0、前回までの復習 ・デリダによるフッサール、『幾何学の起源 序説』について 哲学というのは超-歴史的な理念 Idee を探すものとされてきた。しかし、その理念すら歴史的にのみ発見されるというパラドクス。それを前提とするのがフッサールの超越論的現象…

Wake up, Girls! 1- 12話 感想メモ: 未来視の作用、「見る-見られる」の交錯の向こう側へ

全話見直しはできず。これまでTwitter上で書き散らしたものを集めたメモ。 0、導入---奇妙な「偶像」アニメ 「もう読むな──見よ!もう見るな──行け! 行け、お前の時に、姉妹はない、お前はいま─」(パウル・ツェラン『迫奏』) 『Wake up, girls!』は奇妙…

J. デリダ『ヴェール』「蚕」1章

『ヴェール』より、主にシクスーの「savoir」とデリダの「Un ver à soie」1章のメモ。 作成に当たっては、引用箇所を(終章である)3章まで含めた上、意図的に順番を組換えたのちにまとめています。改題的なまとめ、ということで、ご了承ください。 ※ 全体の…

1/18 宮台・東 「ニッポンの展望」 #genroncafe

宮台-東 「ニッポンの展望――2013年総括&2014年大予言!」 #genroncafe ※発言どおりのノートテイクではないので、全体の雰囲気を感じられるようなものになればと。 1、序 ・先日、video newsで既に対談している(サイゾー2月号に載る予定) http://www.vide…

1/15 東浩紀『存在論的、郵便的』を読む 講義---第二回 #genroncafe

1、『郵便本』第一章第二節(1) 導入と哲学史的補足 ---19:05-19:35 (1) 冒頭 ・「幽霊」ghost, spector に憑かれた哲学、の意味:存在論ontologie の憑在論化hauntologie としてのデリダの語法 (2) 「存在」についてのいくつかの哲学史的補足: ・ハイデガ…