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"Cambridge Companion to Utilitarianism" sec.16. 功利主義と未来の人々への責務 Utilitarianism and our obligations to future people (Tim Mulgan) ※途中

"Cambridge Companion to Utilitarianism" sec.16. 功利主義と未来の人々への責務 Utilitarianism and our obligations to future people (Tim Mulgan)

 

1 功利主義を採らないと未来の人々を捉え損なってしまうこと
 i.) 非同一性問題
 ii.) 世代間の互恵の欠如
 iii.) 場違いとなる楽観主義
2 集合にまつわるパズル
 i.) 全体を見る見方(がもたらす望ましからざる帰結)
 ii.) 平均をとる見方
 iii.) 辞書的な(※語彙に基づく)見方
 iv.) 効用の無限性問題
 v.) 単純追加パラドクス
3 正しい行為にまつわるパズル
4 幸福についての再検討
5 壊れ行く世界に対して功利主義がなせること


【本論要約】


(1段落) 問題提示

・未来の人々に対する配慮の必要
 将来への対処を間違うことで、今後生きれたかもしれない人が生まれることすら許されなくなる。
 現在の何気ない行為は、潜在的には未来に生きる人に対して甚大な影響力をもつ。
 たとえば環境危機が起こりそうなときには、誰もが、未来の世代に対する影響力を行使していることにうすうす気づいている。

・世代間倫理
 歴史は長くはない。それゆえ、答えを提示するというよりは、解答困難な問いの前で足踏み状態。
 「何が(※未だ生まれていない人の)生を、生きる価値があるものにするのか?」
 「下の世代について、我々は何をする義務を負っているのか?」
 「下の世代のニーズと、我々のニーズとが衝突したときに、どのようにバランスをとればよいのか?」


(2-4段落) 功利主義者の解答

功利主義者の解答
 功利主義的には感覚能力ある存在の幸福を最大化することが目的となる。
 (未来の人も現在の人と同じ道徳的な地位を有する)
 未来の人々の幸福もまた至高の道徳的な関心事と認めうる。

・理由
 理由①:功利主義の不偏性 impartiality (ベンサム「ひとりをひとりとして数えよ」)
  ここから、時間的な不偏性が帰結する。
 理由②:功利主義の反エゴイズム性
  自然的傾向として、自己利益を追求したり、価値や伝統、観点に対する過度な重み付けをしてしまうことから、自身を護らねばならない。
  現在の利益のみを(※未来等別の時点に比して)特権化する道徳原理は当てにならない。
    
・楽観的な見方の修正
 もはや時を追うごとに暮らし向きがよくなるという想定は成り立たない
 単に現行の生活を続けることで世界を破滅的な状況に追い込むことも十分ありうる


1 功利主義を採らない人がどのようにして未来の人々を捉え損なってしまうか


(5段落) 功利主義でない人が陥る3つの問題


i.) 非同一性問題


(6-7段落) D.Parfitの問題提起「same people / different people」

・二つの影響関係の区別
① same people 同一の人々問題:
 未来の人々に起こる事態に影響を与えはするが、これから存在することになる具体的なその人に影響を与える訳ではない、とするパターン
② different people 別の人々問題:
 これから存在することになる具体的な人に影響を与える、とするパターン

功利主義の利点:区別をもたない観点 no difference view
 多くの道徳的立場が same people 問題として考えているパターンについて、別の人々問題としても捉えることができる。功利主義は、それ自体としては、difference people 問題になんら新たに発生した倫理的な問題があるとはとらえない。


(8-12段落) いくつかの例

・例1:特殊体質者メアリーの選択
 メアリーには特殊な体質がある。メアリーから生まれる子供が冬に生まれた場合、必ず慢性疾患を患うことになるのだ。反対に夏に生まれれば、全くの健康体で生まれてくる。こともあろうに、メアリーはなぜか冬に子供を産んだ。とはいえ、子供は疾患持ちではあれど、その生は生きるに値するものだったと仮定しよう。その場合、メアリーの選択は道徳的に誤っているだろうか?

 Q.) メアリーは子供を害したか?
 ---A.) 害してそうにみえるけれど、害していない。
 ---理由。存在する子供は生まれるべくして(慢性疾患者として)生まれた。
  「害した」という想定に必要な健康体の主体が全く存在しない。これからも存在することはない。
  決して生まれることのなかった誰かを傷つけることはできない。
  ※つまり、same people問題を乗り越えられない。
 
・例2:リスキーな政策
 核廃棄物について、完全に安全な政策と、安いが一定のリスクを伴う政策がある。
 後者を採った場合、遠くはなれた時点においては地震によって放射線漏れが発生し、多くの人の命を奪うかもしれない。その場合、リスキーな政策は道徳的に誤っているだろうか?
 
 Q.) リスクテイクした決定は未来の人々を害しているか?
 ---A.) 害していそうに見えるけれど、害していない。
 ---理由。二つのエネルギー政策を採ったとき、そもそも別の未来が開かれる。
  リスキーなエネルギー政策を採らない未来の場合、恐らくその死者はそもそも存在していなかった。
  それゆえ、「エネルギー政策をとらなかったならばその人は傷つかなかっただろう」とはいえない。
  ※つまり、same people問題を乗り越えられない。

・例3:資源保存の例
 資源を使い尽くして未来の人々には資源を残さないか、資源を保存することで未来の人々の暮らし向きをよくするか。
 使ったところで、その人たちなりの幸福な人生を歩める。危害に基づく問題提起は困難。 
 

(12-13段落) いわゆる非同一性問題 

・非同一性問題の一般的定式:
 別の行為が選択されると(別の可能世界において)別の人々を作り出すにいたる。よって、直感的には害を与えたように感じる場面においても、具体的な個人について不遇な取り扱いを受けたとか、傷つけられたとかを指摘できない、という問題が生じる。
 ※直感的にこの問題を理解してもらえる場合のみ通用するのではあるが。

・different people 問題の広がり、非同一性問題の避けられなさ:
 別の可能世界においては、あなたと同じ人間は存在しない。
 (ex.両親が出会わなければあなたがうまれることはなかった)
 

(14-16段落) 非同一性問題の重要性

・人々への影響関係を基礎にした原則への示唆
 行為が悪いと言えるのは、特定の人々が本来であればそうであったかもしれないよりも望ましくない状態に置かれたときに限る、という原則は狭すぎる。
 (※なぜなら非同一性問題を扱えないから)
 別の人々を選択する(行為をなす)場合、特定の個人はなんら望ましくない状態に置かれた訳ではない。そもそも当該行為をしなければ、当該個人が生まれてさえいなかったためである。
 それゆえ、功利主義者からの批判を免れ得ない。
 
・医療倫理への示唆
 再生産医療において、新しいテクノロジーが、結果として生まれてくる子供達を(ある種の仕方で)「害する」場合には、そのテクノロジーを我々は拒否するはずだ。しかし、differnet people問題を真面目に受け取らなければ、その子供達は未だ存在していないのだから加害の対象にはならないはずだ。
 
・歴史的不正に対する補償論議への示唆
 その不正があった事実に基づいて生まれた(その不正無くしては自身もまた存在しなかった)後代の人々が、いま、過去の歴史的不正を追及するとはどのようなことか?

・社会契約論への示唆
 (今の選択によって生じる)未来の人々を含めた(今この瞬間における)社会契約等、そもそも想定し得ない(しかし含めなくてはならない)というジレンマ。
 カント、ロールズ、ゴティエ、スキャンロンらが陥るジレンマ。


(17-18段落) 功利主義でない論者の苦肉の策と、功利主義との融和

・非同一性問題の無視
 ex.) David Heyd 「何ら未来の人に対する責務は無い。結局は同時代的な判断に依存する」

・多くの非功利主義者による非同一性問題の乗り越え?
 ex.) スキャンロン的契約理論における合理性(合理的配慮の対象)の拡張
 ex.) Rahl Kumarによる責務の対象範囲(遺伝子的繋がりがあれば存在することになる対象を含む)の拡張
 
・Parfitによる契約理論への「不偏性」「非人格性」の含みこみ
 ここまでくると、殆ど功利主義と大差なくなる。
 (実際、契約理論に不可欠な「個人」概念さえ意地できない)


(19段落) 功利主義の優位 
 
功利主義は、非同一性問題に有効に対応できる(唯一の?)見解
 


ii.) 世代間の互恵の欠如


(20-24段落)

・問題:後代の人は現在の人に何一つ利することはない(無報酬性)、という非対称
 ex.) 時限爆弾的な貯蔵核物質や環境被害
 互恵性に基礎を置く限り、これらの問題を解消する理論的な正当化は不可能となる

・苦肉の解答
 責務は無いが配慮はある、とか、責務はないが勘定にいれることはできる、とか。
 ex.) 社会契約論的な解答
 契約を不在の他者と結ぶことは本来は矛盾なのだけれど、あtる有限の未来に対しては契約が機能する場面もあるのではないだろうか。未来の人も、ある種の信託される者としての地位、あるいはオンブズマン的な地位に関しては、有していると言ってよいのではないか。
 
・相互利益に裏づけられた理論の脆弱性、倫理は互恵によるのではないという功利主義の主張
 

iii.) 場違いな楽観主義


(25-27段落)

・楽観主義:上記の非同一性問題や互恵性欠如という問題がないがしろにされてきた理由
 現在において最も望ましい決断をするかぎり、未来の人々は、我々の自由民主的な制度や、反映した経済状態、科学的な進歩のすべてを相続することができるはず。なので、未来の人は、どう転んだとしても我々よりもよりましな状態にあるといえるはず、という楽観主義。

・環境問題が突きつける課題:達観主義ではいられない理由

・新たに生じた問題を無視することで得られる解決(非功利主義的解決)か、その不足を補う解決(功利主義的解決)か?
 


2 集合にまつわるパズル


(28-29段落) 

・「集合 aggregation 」問題
 differnet people問題をさらに、
 ①different number問題:幸福を覚える人の人口を増やせば足りるのか?
 ②same number問題 :同数の人口における幸福の質に着目すべきなのか?
 に、分割しなければならない。
 (※集合問題は、あくまでも幸福に関する理論としてどの立場をとるかとは無関係)
 
・歴史的にみたときの功利主義の二つの伝統
 ①total view :幸福の総量を増やすのが最もよいとする考え
 ②average view:幸福の平均レベルが最も高いものが最もよいとする考え

・幸福を覚える主体の数が異なる場合には、この①②の見方の対立が先鋭化する
 ではどちらが望ましいか?どちらも望ましくないのか。

 

 

i.) 全体を見る見方 total view がもたらす望ましからざる帰結


(30-33段落) 全体を見る見方の難点について

・最大幸福志向:功利主義を採る哲学者の大半に共有されている見解
 
・シジウィックによる反論:望ましくない帰結 repugnant conclusion
 「既に暮らし向きが非常によい状態にいたっている人々(World A)において、更にその人々の幸福が増えないとしても、人口数を増やすことが幸福を増やすことになってしまう」
 →パーフィットの見解:人口数をどんどん増やすことで(World AからWorld Bへ…)やがては個々人の生が生きるに値しない地点(World Z)まで落ちる
 
・望ましくない帰結に対する回答方法:
 パーフィットの直観である「①World AがWorld Zよりもよりよいか、さもなければ、②全体をみる見方そのものをとるはずだ」という二択を、拒否する。
 
 
(34-35段落) 回答①直観そのものを否定するパターン

・パターン1:直観の全廃
 (世界Aと世界Zの比較可能性を否定する)

・パターン2:巨大な数に関わる直観のみ排除
 (J. Broome曰く100億以上の数については直観を信じる理由は無いとのこと)
 
 
(36段落) 回答②全体をとる見方を肯定するパターン

・Yew-Kwang Ng「場違いな部分性」
 世界Aの生活が我々の生活に近いと考えて、Aの人々がAかZかを選ぶ、という局面を想像しているだろうが、これは誤り。不偏的に考えれば、Zのほうがよりよいとわかる。(Zに住む人も辛うじてではあれ生きるに値する人生を送るだろう)
 それゆえ、パーフィットの直観は正しくない。
 

ii.) 平均をとる見方


(37-38段落) 

・平均的な生を比べる見方:経済学者が多く採る見方

・反論:遠くはなれた孤高者問題 hermit problem
 「一切の関わりを持たないところに人を新たに作り出した場合において、その人がこちら側と一切の関わりを持たないとしても、平均をわったら作るのは不正だとする(とする反直感的な帰結)」
 ex,) 人口の単純追加はそれ自体が悪いことではないというパーフィットの反論

・再反論?
 ①その結論で何も悪くはない、と開き直る
 ②平均的見方は、hermit problemを引き起こさない
 ③影響関係にあるものに平均をとる対象を限る
 などなど
 

iii.) 語彙に基づく(※辞書的)見方


(39-44段落)

・塵が積もっても山にはならない、という見方。
 ある種の人々の生が、辞書を引くように優先劣後関係に立つ。
 利点①:望ましくない帰結を回避できる
 (劣った人を作るよりは繁栄した人々を作り出すべきことになる)
 利点②:単純追加問題にも悩まされない

・反論
 ①辞書的な見方は同語反復(望ましいものを先に定めているだけ)
  →再反論:
   とはいえ、実践的に見れば、辞書的な見方は極めて平等主義的な見解。
   未だ自律できない人々を自律の価値へと至らせる道筋をつけることが可能。
 ②なだらかな連鎖があるので、辞書的意味を截然と分けることはできない
   どこに閾の線引きをすればよいかわからない問題
   

iv.) 割引(ディスカウント)問題


(45-46段落) 割引の意味と必要

・割引の理由:
 ①不明確な人々の代理をするということ、究極的には人類がいなくなるだろうことから。
 ②未来の人は現在の人よりもより豊かな生、豊かな科学的水準に基づくよりよい生を送っているだろうから。
 
・議論をよぶ問題
 (現に我々が自身と他人についてもそうやっているように)純粋に時間的な選好を考慮すべきか
 実際に、どのような数にするかで侃々諤々の議論


(47段落)

・反論:時間的な不偏性の強調?

 

v.) 効用の無限性問題


(48-49段落) 

・無限が引き起こすパラドクス
 感覚能力のある存在が(数学的な意味で、または膨張宇宙の意味で)無限に存在した場合、全体の幸福が同一に保たれてしまう問題

(50-51段落) 

・反論:約定にもとづく反論
 問題となる範囲を約定によって限定すれば足りる。

・再反論:理論的問題は解消されていない
 Peter Vallentine and Sherry Kagan 

 

vi.) 単純追加パラドクス
 
 
(52-59段落) 

・パラドクスの内容
 まず、3つの世界を想定。
  ①A世界 :人口10億、繁栄した生活
  ②B世界 :人口20億、Aの半分程度繁栄した生活
  ③A+世界 :人口20億、そのうち10億はAと同程度に繁栄した生活、
        残りの10億はB以下の幸福水準、全体平均はBよりも低い。
 ここで世界比較をする。
  a.) A+はBよりも悪い(∵ 全体的観点、平均的観点、平等的観点からBが望ましい)
  b.) AはA+より悪い(∵ A+には10億の幸福な生が単純に追加されただけ)
  c.) BはAよりも悪い(∵ 望ましくない帰結)
 これは矛盾する。


(60-61段落) 

・反論
 ①非推移性の受け入れ
  仮にAよりCが望ましいからといって、
  AよりBが望ましく(かつ)BよりCが望ましい、ということにはならない。
  これに対してBroomは「〜よりよい」という言い方は直観に叶っているといって再反論する。
 ②相対的モデル
  そこに住んでいる人の利益に相対的に評価を加える、というもの。
  観点相対的な評価手法(person-affecting consequentialism)


 
3 正しい行為にまつわるパズル


(62-66段落) 

・正しい行為についての見解 ex.) 行為帰結主義(しかし問題含み)
 問題①:高すぎる要求を課してしまう問題
 問題②:再生産に対する自由を縮小させる
 問題③:再生産に伴う義務の非対称性の無視
    (不幸な者を生まない義務の存在/幸福な者を生む義務の不存在)
 非人格的な価値を最大化しようとする際に避けられない3つの問題
 これを甘受しようというのが行為帰結主義
 (※ミル『自由論』5章における再生産の自由の議論も類似したものだが、同一ではない)


(67-68段落) 

・正しい行為についての穏健な見解(反-行為功利主義の理由)
 行為功利主義が分けられない二つの理由付け:
  ①望ましくない帰結を避けるのは、ZがAよりも悪い(からAに向かう義務がある)
  ②Aの住人はZに世界を変えなければならない義務を課されていない。
 行為功利主義にとり二つの世界の間の選択肢が在るということは、どちらかを選ぶ義務があるということ
 対して、穏健な見解においては義務が課されるという結論を否定することができる


(69-71段落) 

・ありうる回答
 ①実践においては、時間的な不偏性を捨て、純粋な時間選好を採用するというもの
  未来の人々の福利が我々のそれとおなじく価値あるものだとしても、
  我々は道徳的な配慮にもとづいて未来の人の福利を割り引く視覚が与えられている、とする。
 ②不偏性を認めた上で、一定の価値の重み付けをすることも許す、というもの
  (Samuel Scheffer)
 ③行為功利主義ではなくルール功利主義を採用するというもの
  理想的コードによるルールと特定のコンテクストの含み込み
  義務を課すことはせずに、相対的な価値への考慮を失うこともしないという利点

 

4 幸福について、再検討


(72-段落) 

・同時代人に対する義務の拡張、としてではない義務の観点
 通常の思考順序としては、①正しい行為、人間の幸福、集合についての選好に基づく考慮をして、②その後に、それらを世代間の問題へとあてはめる。
 それに対して、功利主義は(一挙に世代間の問題を含む幸福についてのある見解に基づいて)別の思考順序をとる。


(73-75段落) 

・快楽主義をとっても選好功利主義をとっても、遠くはなれた未来の人々にあてはめるのは妥当ではない
 (選好功利主義の先鋒ピーター・シンガーですら、近頃は、未来人に対する義務についてはなんらかの客観的な価値という要素を必要とする、と述べている)
 辞書的な見方は客観的リスト説に自然に接続できる。

 

5 壊れ行く世界に対して功利主義がなせること

 

(76-79段落) 

・壊れ行く世界という描像が突きつける問題
 復習①:平均的な見方に突きつけられる問題:
  平均以下の者が追加される場合の(反直観的な)帰結。
  壊れ行く世界においては未来が全くなくなる。
 復習②:辞書的な見方に突きつけられる問題:
  現在の我々の生活水準を参照することによって未来の基準を定めるので、
  そうそううまくはいかないかもしれない。
 復習③:全体的な見方に突きつけられる問題
 
 
(80-81段落) 
 
・壊れ行く世界と言う描像が突きつける現在の人との対立の先鋭化
 ①行為功利主義への問題提起
 ②ルール功利主義への問題提起
 ③権利、自由、民主主義への問題提起


(82段落) 

・未来に対する楽観主義は、豊饒さがきえゆく世界においてはガイドにならない
功利主義者は思考不可能なものを思考するという傾向ゆえに(たとえばアンスコムによって)非難されてきたが、壊れ行く世界においては、その思考不可能なものこそ思考されなければならず、この傾向性は悪ではなく、必要な徳となる。